夫の介護と私らしい働き方のかたち

介護をしながらも、働くことをあきらめたくない。難病の夫の介護に葛藤や迷いを抱えながら、制度の制限や不安と向き合ってきたゆみこさん。少しずつ自分らしい暮らし方を模索する中で、バランスを保つための工夫も見つけてきました。その歩みをご紹介します。

ゆみこ(40代) 在宅ワークや清掃、託児など複数の仕事を掛け持ち
家族: 夫と自分と10歳息子、6歳娘の4人家族
要介護者:夫(同居)


難病の夫とともに歩む、わが家の日常と支え合いのかたち

私の夫は筋ジストロフィーという難病を抱えており、電動車いすで生活しています。日常生活にはさまざまな介助が必要で、夜間は寝返りの介助や人工呼吸器の対応が、朝晩の起床・就寝時にはその準備や移乗のサポートが必要です。また、トイレの介助、食事の手伝い、口腔ケアなども行っています。入浴は訪問入浴サービスを利用し、専門のスタッフの方々に支えていただいていますが、その前後の準備などは私が担当し、安心して入浴できる環境を整えています。

現在は私自身が介護を担う場面もあるものの、「重度訪問介護」という制度を利用し、ヘルパーの方に長時間滞在してもらい介助をお願いしている状況です。また、私が外出する際などには、義母にも手伝ってもらい、家族みんなで協力しながら日々の生活を送っています。

「なぜ私だけが」──介護と働くことの葛藤と向き合って

夫はフレックスタイム制で、9時から18時の間で週30時間働いています。しかし、その勤務時間中は制度上、ヘルパーの利用が認められていないため、その間の介助は基本的に私が担うことになります。そのため、私自身が外で働くことは難しく、仕事と介護の両立について悩んできました。

介護をしながら自分の仕事も続けたいと思う一方で、制度の壁に阻まれる場面も多く、正直「なぜ私だけが我慢しなければならないのだろう」と、不公平に感じることもありました。介護する側の働く機会が限られてしまう現実に、もどかしさや行き場のない思いを抱えたこともあります。

今は制度や周囲の理解も少しずつ進んできてはいますが、まだまだ改善の余地があると感じています。


 「できるときに、できることを」私らしい働き方の工夫

介護と仕事を両立する中で、私が工夫したのは「時間の融通が利く仕事」を選ぶことでした。

決まった時間に出勤するのが難しい状況なので、自分の予定や夫の体調に合わせて働ける単発の仕事や、家でできる在宅ワーク、最近よく耳にする隙間ワークなどを試しています。また、アプリを活用して近場での仕事を探したのも工夫の一つです。

いろいろと試していくうちに、「できることをできるときにやる」「複数の仕事を組み合わせてみる」という働き方が、今の私にはちょうどよいと感じるようになりました。介護と仕事、どちらも無理なく続けるためには、自分に合ったペースを見つけることが大切だと実感しています。

また、仕事をすることで良いリフレッシュにもなりました。介護の現場では、人間関係の煩わしさを感じることも少なくありません。そんなとき、まったく違う場所で働いたり、在宅で一人の時間を持ったりすることで、気持ちを切り替えられる時間を持てるようになり、心のバランスを保つ助けになっています。

結果として、様々な働き方や職種を経験できたことも大きな収穫でした。隙間ワークや在宅ワークの情報を探すアンテナも自然と広がり、今では介護に関係のない知人や友人にも、自分の経験をもとに仕事探しのアドバイスができるように。

介護と仕事、どちらも抱えながらではありますが、その中で得たものはたくさんあると感じています。

介護と仕事を続けるために、自分を労わる時間を大切に 

介護をしていると、どうしても自分の時間や気持ちを後回しにしてしまうことがあります。でも、どんなに忙しい日々の中でも、自分の時間や楽しみを大切にしてほしいです。仕事をすることも、自分の好きなことをすることも、心のバランスを保つためにはとても大切なことですよ。

私も今、月に数回ですが、託児スタッフとして働いたあとに立ち寄るランチの時間をとても楽しみにしています!

介護と仕事の両立は決して楽なことではありません。だからこそ、ぜひ、自分の心と体を労わる時間を意識的に持ってください。それが、無理なく長く続けていくための大きな支えになるはずです。

どうか、自分自身のことを大切にしながら日々を過ごしてくださいね。

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