24時間体制の介護生活で見つけた大切なこと

2025年6月10日 2025年6月10日

キャリア・マム

想像以上に大変な、介護と仕事の両立。
父親の退院後、介護が本格化し、兵頭さんの生活は大きく変わりました。それでも、できる範囲で仕事を続けながら乗り越えてきた兵頭さんの、「介護とはたらく」を両立させる工夫や、心を守るためのヒントを紹介します。

兵頭明子（60代）　
自営業(情報処理サービス在宅ワーカー)
家族： 3人(父、私、妹)
要介護者：実父(同居)

妹と2人で挑む「24時間体制」の介護生活

父が退院してから、生活はガラリと変わりました。それまでも多少のサポートはしていたのですが、退院後に要介護のレベルが上がったのです。

それからは、私と妹の2人による「24時間体制」の介護生活が始まりました。

妹と2人で在宅の情報処理系の自営業をしており、時間の調整がしやすいのは幸いでした。しかし、仕事と介護の両立はやはり簡単ではありません。

交代で休憩、半日だけの自由時間など、声を掛け合い工夫しながらなんとかやっています。

「仕事と介護の両立」。言葉にすれば簡単でも、現実はなかなか簡単にはいきません。

父の介護が本格化してからは、仕事は“開店休業状態”。業務量は最低限でした。

仕事をゼロにはしたくなかったので、介護の予定を考慮しながら、仕事に支障が出ないようスケジュールを調整していました。それでも仕事を受けられなかったり、思うように進まなかったりすることも多く、もどかしさを感じることも。

そんな中で、キャリア・マムの副業案件を単発で受注し、隙間時間を活用して少しずつ納品できたことは、大きな達成感につながりました。「自分にできることがある」と実感できたことが、精神的な支えになったと思います。

今の働き方は、自分のライフスタイルに合わせて自由に選べるため、とても助かっています。たくさんの仕事を受けて稼げる状況ではありませんが、少しの収入でも家計の助けになります。

介護には、消耗品や急な移動にかかる交通費など、想像以上にお金がかかるものです。医療費や介護費は負担割合によって大きく変わりますが、収入がまったくなければ、その不安が精神的な重荷にもなってしまいます。

だからこそ、少しでも働いて社会とつながっている実感を持てることが、孤独感の軽減にもなり、心の支えにもなりました。

これからも、自分らしいスタイルで、無理なく働き続けていきたいと思っています。

介護と仕事の両立を目指す方に、私から伝えたいことがあります。

まず大前提として、「介護は片手間ではできない」ということ。これは実際に経験して、強く感じたことです。無理をしないことが何よりも大切です。自分の体力や気力、時間や状況などを冷静に見つめ、そのときに「できることを、できる範囲でやる」。それが一番のコツだと思います。

私自身は、「仕事は、やれるときに、やれるだけでいい」というスタンスで働いています。「普通の生活リズム」にとらわれず、柔軟な考え方を持つことが大切です。介護のある暮らしはイレギュラーの連続ですから、頑張りすぎず、自分に優しくあること。

たとえば、短時間でも睡眠をこまめにとるだけで、心と身体の回復力は全然違います。どこでも眠れるTシャツやスウェットのオールインワン、シャンプーリンスや体ふきなどの便利グッズも、日常の助けになります。

また、ストレス解消や気分転換の工夫もとても大切です。私はYouTubeを見たり、ガーデニングをしたり、美容・健康ドリンクやハーブ、スイーツや果物を取り入れたりしています。小さな癒しアイテムを手元においたり、足湯をしたり、タオルや寝具を少し贅沢にするだけでも、ほっとできる時間が生まれます。

あとは、なんでも話せる相談相手を持つことです。つらいときやちょっと笑いたいとき、誰かに話を聞いてもらえるだけで、気持ちは大きく変わります。心地よい人やものと接し、自分をいたわる時間をどうか大切にしてください。

介護のレベルによって必要な介護用品は変わりますが、私はペットシーツ、口腔ケア用のスポンジ、ビニール手袋、肌にやさしいおしりふき、泡切れのいいおしり洗い、介護食や宅配弁当などにも助けられています。

介護される側が主体であることを忘れず、父の体調に合わせながら、父も交えて一緒に楽しむ暮らしを意識しています。最近は、介護タクシーを使って近所のお花見ツアーにも出かけました。

大変ですが、小さな喜びや自分を大切にする時間を積み重ねながら、自分らしく少しずつ前へ進めれば、それだけで十分だと思います。

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