介護と仕事を両立するための工夫と心のケア

実母を同居介護してきた50代女性。職住近接の良さと大変さ、その両方を感じながら仕事を続けつつ、介護にも取り組んできたしろくまさんから、貴重なアドバイスをいただきました。

しろくま(50代) 医療職(病院勤務)
家族: 夫・子供3人・実母
要介護者:実母(同居)
デイサービス利用で得られた余裕と安定
日中ある程度は一人で過ごせていたことと、職場と自宅が近かったことから、平日は昼休みに帰宅して一緒に食事をとりながら様子を確認していました。
勤務が終わると第2ラウンド開始のゴングが鳴るような気分で、毎日家族が夕食を食べ終わるころにやっとホッとできる感じでした。母のデイサービス利用が途中から週3回になり、仕事が休みの日にも通えるようになったので、その間に溜まった家事や仕事をこなすことができ、少し余裕ができました。
もっと時間があれば…。葛藤の日々
仕事ではもう少し時間をかければいい成果が出せると見通しが立っていても、あきらめたり妥協したりしなければならないことの連続で辛かったです。介護では逆に色々と準備をしたり計画を立てたりしていても、その通りに進まないことが多く、イライラして母にあたって喧嘩のようになり余計に辛くなっていました。
職場は比較的理解があったので助かりましたが、顧客(患者)から「あの人はすぐ休む」とクレームがきたこともありました。
自分の時間も捻出し、元気になって世の中に還元を。
職場では介護のおおよその状況は伝えるようにしていましたが、実際の仕事場面で周囲に迷惑をかけた時は言い訳をしないで謝るよう心掛けました。休んでも影響が少なそうな日があれば事前に半日でも休暇を申請し、その時はできるだけ自分の休息に使うようにしました。その際「自分が倒れたら世の中が困ることになる、元気になって還元しよう」と、罪悪感を持たないようにしました。
とにかくやらなければならないことが次々と頭に浮かんでくるので、全部付箋に書き出すようにして、仕事も家庭のことも関係なく「急ぐこと」と「自分がやらなければならないこと」から優先順位をつけ、終わったらくしゃくしゃにして捨てるようにしました。
食事の満足感は家族全員の活力に重要なので、すぐに食べられるものや冷凍野菜など、時短の素材は常にストックしていました。母以外の家族は夕食ができるまで待つことは平気でしたが、母は寝るのが早いので仕事が少し遅くなると間に合いませんでした。そのような時はコンビニおでんを買って器に移して出していました。柔らかいたんぱく質の素材が多く、手抜き感が少なくてゴミ処理も簡単なところが良かったです。
この経験から、本当に自分が直接やらなくてはいけないことなのか、ということを問い詰める習慣ができました。また、相談の仕方が上達したこと、バリバリ働いていない・働けない人を肯定するようになったことも、自分自身の価値観や考え方が柔軟になった証だと思います。
起きていることに対処する「大変さ」と「辛さ」は、別のもの
実際に目の前に起きていることに対処する大変さと、気持ちの辛さを分けて捉えることをお勧めします。
前者であればサービスの情報を仕入れたり、工夫したりすることで解決することもあるかもしれません。気持ちの問題は同じ体験をしている方と語りあうのが一番救われると思います。