突然始まった父の介護――とまどいと、父との新しい関係

こんにちは。父親の介護を始めてから7年目となる大猫まゆです。
今回は介護が始まったときに、とまどった経験をお話したいと思います。私の経験が皆様の背中を押すことができれば幸いです。
自分が年を取れば、親も年を取る
周囲の友人たちの中には、親の認知症に悩んでいる方、残念ながら見送った方もおり、いつか自分にも来るものだとは思ってはいました。
けれど、それは「頭の中」だけでのことだったんだと分かったのは、父が脳出血で倒れてからでした。命は助かったものの、半身まひが残り介護生活が始まりました。
いつか来るとは思っていたものの、実感のなかった親の介護。それは突然でした。
とまどい…というよりわからないことだらけ
何がわからない、ってすべてでした。
介護保険、自治体の制度、自宅介護のイメージもつかない。父が半身まひということはわかっても、日常にどんな援助が必要かもわからない。
母や妹と、時にケアマネージャーさんに相談をしながら、出てきた問題に対処していくことで、自宅での介護はスタートしました。
父親が子どもに?
介護生活が始まって何にとまどったかというと、やはり一番は父本人のことでした。
父には「半身まひ」だけでなく高次脳機能障害が残りました。10年前のことは覚えていても、朝何を食べたか、今日の予定などは記憶に留まらないのです。
私にはこの症状が認知症と変わらなく思えました。
そして父も「食べたい、眠りたい」という欲求をまっすぐに伝えるようになりました。まっすぐというより、欲求を我慢することができないのです。これも父が「子ども返り」したように思えました。
父が本能だけの子どものようになる。これは戸惑いでもあり、なかなか受け入れがたい姿・現実でもありました。
父と私のこれから

父は70代後半です。半身まひになるには早かったかもしれません。介護で生活は一変しました。なかでも一番変わったのは、父と私の関係だったと思います。
必要なこと以外口を利かないような関係から、介護が始まってからは「どうしたいのか?」「どこが痛むのか、辛いのか」問いかけていくしか、父が望んでいることがわからないのです。
もどかしいことも多くありました。けれど、父と私の関係は確かに変わりました。
父にどのくらい時間が残されているかわかりません。けれどもこの介護で生まれた父と私の関係は、これまで育ててもらったお礼をする時間をもらったようにも思えています。
お互いにつんけんしたままで別れる日を迎えなくてすむ。これはとても素晴らしいこと、それまでこの時間を大事にしようと思います。
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