介護はひとりで頑張らないで。周囲と支え合うコミュニケーション

大猫 まゆ(40代) くも膜下出血後、正職員からパートアルバイト

家族:両親(共に70代)
要介護者:父(同居)
自身も病に見舞われながら、母と共に左半身に麻痺が残る父の介護に奮闘。父の介護は日常の細々とした動作すべてに及んでいて、スケジュールに追われる毎日です。そんな大猫さんの工夫をお聞きすることができました。
父の介護、終わりなく続く日々の細かなサポート
70代の父は脳出血後、左半身に麻痺が残り、生活全般に介助が必要になりました。食事一つとっても、食べやすくするために工夫したり、誤嚥しないよう見守りながら配膳したり、食後の掃除や入れ歯の手入れ、歯磨きの声掛け…。これが毎回必要です。
日中は自分でトイレに行きますが、転ばないように見守り、時には支えます。夜は尿器を使うので、その交換も必要です。薬も毎回セットして、ちゃんと飲んだか確認します。
その他にも、洗顔や髭剃り、髪をとかすといった身支度の声掛けや、洋服をすべて用意してからの着替えの手伝い、左脚の装具の着脱サポート、時にはお茶やおやつの用意など、細かなサポートがたくさん。でも、ありがたいことに話すことや理解に問題はないので、意思疎通はスムーズです。
自分の時間も、都合も、簡単に決められない
父が週3回のデイサービスから帰る時間は決まっているので、正社員時代は急な残業を避けるようにお願いしていました。でもそうやって融通を利かせてもらっても、結局は父のスケジュールにすべてが影響されているし、夜間に手がかかって寝不足になると、朝職場につく頃にはすでにクタクタ…。体力的にいつまで続けられるのか不安になったこともありました。
介護はひとりで抱え込まないで。コミュニケーションの大切さ
父の予定に合わせることが多いので、職場にはできるだけ父の介護やデイサービスのスケジュールを伝えて、急に休んだり遅刻・早退したりすることに備えて理解を得るようにしていました。この経験を通じて、介護と仕事の両立の大変さを実感し、同じような立場の人たちへの共感が深まりました。
また、こうした日々を過ごしていく中で、介護も仕事も自分ひとりではどうにもならないと強く感じ、助けを求めることも学びました。助けを求めることで、逆に迷惑をかけずに済む場合もあります。
そして、これは意識的に変えたわけではありませんが、両親との関係もいい方向に変わった気がします。自分が年を取れば親も老いていくのは当たり前。お互いがどう思っているのか、どうしたいのかを伝えあうことが増えました。コミュニケーションが深まり、お互いに気遣うようになって、距離が縮まった感じがします。
介護休暇やレスパイト施設を活用して、無理せず介護
職場によっては、介護休暇などの制度があると思うので、就業規則をチェックしておくといいですよ。介護休暇が時間単位で取れるところもあるので、この制度を活用すれば年休を消化しなくても済んだり、介護のために辞めなくても済んだりすることもあります。
介護と仕事を両立させるのは難しいので、近くに兄弟姉妹がいれば、介護の状況を共有して、交代で対応できる体制を整えておくのがオススメです。
それに、近くに頼れる親族がいなかったり、自分が急に体調を崩したり、疲れがたまって休みたくなったりした時のために、事前に「レスパイト入院」できる施設を調べておくと、いざという時に焦らず済みますよ。
こうした制度を利用したり、周りに相談したりすることは決して恥ずかしいことではないです。介護と仕事を両立させたいのであれば、ためらわず制度を利用し、助けを求めることが大事だと思います。