ありのままを伝える介護のすすめ

介護と仕事の両立は、多くの人が直面する難題です。
今回お話を伺ったのは、実父の介護を続けながら、自営業の仕事もこなしている京子さん。どのように日々の生活を組み立て、介護サービスを選び、仕事とのバランスを取っているのか。支えとなったケアマネージャーとの関係や、自分自身の心の変化についても聞かせていただきました。

京子(50代) 自営業
家族: 実父・私・双子の娘20歳
要介護者:実父(同居)


デイサービスとショートステイを活用しながら続けた介護生活

同居の実父を介護していた時のことをお話します。
介護度が進むと、必要なサービスも変わってくるため、当時はその時々の状況に最も適した支援を中心に、1週間のスケジュールを見直すようにしていました。
仕事との両立のために、デイサービスやショートステイをできる限り取り入れることで、自分の時間をなんとか確保。これらのサービスなしには生活が成り立たなかったと思います。

幸いにも、担当のケアマネージャーさんがとても頼りになる方で、こちらの要望を丁寧に聞き取って、すぐに対応してくれたので、これは本当に大きな支えでした。

悩みながらも見つけた、自分を守る介護のかたち

自営業で店を営んでいるのですが、幸いにも店舗を自宅に移したことで、父の在宅介護を続けることができました。もし会社勤めだったら、要介護4の父の世話はとても難しかったと思います。

とはいえ、時間に追われる毎日は想像以上に厳しく、体力が尽きた状態での接客では、笑顔さえ出せず、お客様に申し訳なく感じることも…。
当初は「可哀想かな」と思って控えていたショートステイも、時間が経つにつれ、自分自身を守るために必要な選択だと受け止められるようになりました。
介護は、頑張りすぎないことも大切ですね。

発信することで広がった支援と共感の輪

仕事と介護の両立をする中で、まず心がけたのは「現状を正直に伝えること」でした。いつものお客様には、あらかじめ父を介護していることをお話しし、ご理解とご協力をお願いしました。

思い切って発信することで、想像以上に温かいサポートをいただけたのは、本当にありがたかったです。

そして、自分自身が介護に向き合うようになってから、同じように悩みを抱えるお客様の気持ちにも、より深く寄り添えるようになりました。私よりずっと歳上のお客様が、介護の悩みを打ち明けてお帰りになる際、「少し心が楽になった。」と笑顔で帰っていかれると、私の介護経験が少しでもお役に立てたと嬉しくなりました。

ありのままを伝え、支え合いながら進める介護とはたらく

介護と仕事を両立していく中で、私が心がけていたのは「ありのままの状況を周囲に伝えること」です。

自分の現状を包み隠さず話すことで、理解や協力を得やすくなります。
私は父の介護を通じて、一人で抱え込むのは避けたほうがよいと実感しました。介護の負担は想像以上に大きいので、孤立すると心身ともに辛くなってしまうでしょう。

また、常にアンテナを張って情報を集めることも大切です。必要な支援やサービスを知ることで、自分の負担を減らすことができます。

みなさんにも、周囲に発信しつつ、周りの声にも耳を傾けながら、自分に合った介護と仕事のバランスを見つけていってほしいです。無理せず、周りと協力しながら進めてくださいね。

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