家でも集中!介護と在宅ワークを両立する「生活動線&ワークスペース」実践ガイド

介護をしながら在宅ワーク(テレワーク)をする場合、ワークスペースの確保はとても大切なポイントです。
在宅勤務は時間の融通が利きやすく、介護との両立に適した働き方のひとつといえますが、家だからこそ「集中しにくい」という課題もあります。仕事に集中できない環境は、ストレスや生産性の低下にもつながります。
「ワークスペースを整えること」や「介護しやすい生活動線をつくること」は、両立成功の第一歩。
ここでは、限られた住まいでもすぐに実践できる工夫や、スペース・動線を確保するための方法をご紹介します。
在宅ワークで起こる“あるある”困りごと
介護をしながら在宅で仕事をする方にとって、テレワークは理想的な働き方のひとつです。
しかし、在宅勤務だからこそ起こる困りごともあります。
● 家族の出入りや生活音で集中できない
● 家事・介護と仕事の境界が曖昧になりやすい
● ひとりで仕事をする孤独感
● 「呼ばれやすい」「頼られやすい」ことによる中断
● 長時間同じ姿勢による身体の負担
自宅では家族との距離が近い分、仕事の集中が途切れやすくなります。さらに、家事や介護との境界が曖昧になり、オンとオフの切り替えが難しくなるケースも少なくありません。
これらの悩みを解消する鍵となるのが、「ワークスペースの確保」と「介護動線の見直し」です。
この2つを意識するだけで、仕事と介護の両立がぐっとしやすくなりますよ。
快適な「生活動線&ワークスペース」の基本ルール

在宅ワークを快適に行うためには、生活動線とワークスペースの設計・デザインの工夫がポイントです。
自宅を小さなオフィスのように整えるための基本ルールを紹介します。どれもすぐ実践できるものばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
まずは「場所を決める」
まず、仕事をする場所を明確にしましょう。
個室やパーテーションなどで壁を仕切った空間が理想ですが、難しい場合はリビングの一角や共有スペースにデスクを設けるだけでも構いません。
毎回場所を変えるよりも、ワークスペースを固定化するほうがオン・オフの切り替えがスムーズになります。
「ここで仕事をする!」と決めるだけで、集中しやすく快適な環境が生まれます。
オン・オフの切り替えを意識したレイアウト
在宅ワークでは、仕事と私生活の切り替えが難しいという課題があります。
ストレスをためないためにも、オン・オフを意識したレイアウトを心がけましょう。
オンの時間には、照明を整え、仕事に関係のないものが視界に入らないようインテリアを工夫すると、集中しやすくなります。オンライン会議などで背景が映り込み、プライベートな雰囲気が出やすい場合でも、カーテンや壁紙を工夫すれば、人から見られても安心できる空間に。オンライン会議ツールによっては、背景を任意の画像に変更できる機能もあるため、ぜひ活用しましょう。
オフの時間には、パソコンや仕事道具を収納ラックなどに片付けて、視界から仕事関連のものを消してしまうのがおすすめです。気持ちの切り替えがしやすくなります。
整理整頓と収納の工夫
ワークスペースを快適に保つためには、整理整頓と収納が欠かせません。
仕事用と介護用の道具や書類は分けて収納し、混ざらないようにしておくと作業効率が上がります。整理整頓された環境なら、必要なものをすぐ見つけられ、探す手間を減らせます。
ワークスペースには仕事道具だけを置き、シンプルな空間を保ちましょう。
騒音対策と集中力キープ
生活音や周囲の音が集中を妨げる場合は、ノイズキャンセリング機能付きのヘッドホンやパーテーションを活用しましょう。また、家族からの呼びかけに気づけるよう、チャイムやモニターを設置するのも良い方法です。
「用事があるときはチャイムを鳴らす」など、家庭内のルールを決めておくと、安心して仕事に集中できる環境が整います。
真似したい!実践アイデア

在宅での介護と仕事の両立には、毎日の生活動線を整え、安心して働ける環境をつくることが大切です。
ここでは、実際に工夫を重ねている方々の事例をもとに、暮らしやすさと働きやすさを両立するヒントをご紹介します。住宅リフォームや空間設計のアイデアなど、自分や家族に合ったものを取り入れてみてください。
介護スペース編(生活動線・間取りの工夫)
● ポータブルトイレの設置
夜間の介助負担を減らすために、ベッドのすぐ横にポータブルトイレを置くアイデアです。本人が自分で起き上がって利用できるようになれば、介護者の睡眠時間も確保でき、何より被介護者の「自分でできる」という自信につながります。
実際に介護を行っている方からは、
「L字の柵の向かいにトイレを置くと、自分で立ち上がれるようになり、夜中に呼ばれることがほとんどなくなりました」
という声も。
こうした配置の工夫は、尊厳を保ちながら自立を支える大切な一歩です。プライバシーにも配慮し、仕切りや配置を工夫して本人が安心して使えるようにしましょう。
● わずかな段差をなくす
たった数センチの段差でも、高齢者や歩行が難しい方にとっては大きな障害になります。転倒リスクを減らすため、できる限り段差を解消しましょう。
「自分で段差を埋めてみたもののうまくいかず、最終的に専門業者にお願いしました。費用はかかりましたが、安心して歩けるようになり、本当に頼んでよかったです」
と話す方も。安全面を考慮して、必要に応じてプロの力を借りましょう。
● 手すりの設置
移動時の不安を和らげる手すりは、介護者・被介護者双方の安心を支える基本の工夫です。
特にトイレや廊下、寝室への導線に設置しておくと、転倒防止だけでなく「自分で行動できる」という意欲を引き出します。
「手すりがあるだけで、トイレまで一人で行けるようになりました。自分の力で動けることが、何よりの自信につながっています」
という声もあがっています。
● スロープや踏み台の活用
車いすでの移動をスムーズにするため、玄関や部屋の出入り口にスロープを設置したり、踏み台で高さを調整する工夫も有効です。
「訪問入浴のときに動線を広く取れるよう、踏み台やスロープを設置しました。スペースを意識するだけでも介助が楽になります」
といった声も。
● 呼ばれたときの動線を短くする配置
ベッド、トイレ、ワークスペースを一直線上に配置しておくと、呼ばれた際の移動を最小限にできます。急な対応が必要なときも動きやすく、仕事中に中断があっても負担を感じにくくなります。
● 見守りカメラやセンサーを活用して情報共有をスムーズに
仕事中でも安心して介護を続けられるよう、見守りカメラや人感センサーを活用している家庭も増えています。離れていても様子を確認できることで、心に余裕をもって働けるようになります。
ワークスペース編(仕事環境の工夫)
● 仕事環境を整えるツール
仕事環境を整えるには、必要なときだけ使える家具を上手に取り入れる工夫が効果的です。
たとえば、折りたたみデスクやキャスター付きワゴンを使えば、介護サービスの時間帯や家族の動きに合わせて、仕事スペースを柔軟にレイアウトできます。使わないときは片づけて空間を広く使えるため、急な来客や介助にもすぐ対応できるのも魅力です。
また、収納棚をデスク代わりにしたり、パネルを活用して簡易的なワークブースをDIYで作る工夫もあります。限られた空間の中でも集中しやすくなり、「仕事モード」と「生活モード」の切り替えが自然にできるようになります。
● デッドスペースの活用
階段下や廊下の一角など、使われていない空間をワークスペースに活用するのもおすすめです。小さくても集中できる自分だけのスペースを確保できます。
● スケジュールボードで可視化
家族と共有できるスケジュールボードを使い、「今は仕事中」などと明示しましょう。
家族の理解を得やすくなり、呼びかけや中断も減ります。
● 介護サービス利用時間を活用
デイサービスやショートステイなどを利用している時間は、集中して仕事を進めるチャンスです。
「デイサービスの時間を“仕事のゴールデンタイム”にしてから、生活リズムが整いました」
という声のように、介護と仕事のバランスを取る上で、サービス活用は大きな助けになります。
まとめ|小さな工夫が大きな安心に!今日から始めるワークスペース改革
介護と在宅ワークを両立するには、専用スペースの確保と心理的な切り替えがポイントです。
リビングの一角など、わずかなスペースでも工夫次第で集中と安心を両立できます。介護動線やワークスペースを少し整えるだけで、毎日の快適さは大きく変わります。
無理のない範囲で、自分と家族に合った環境づくりを今日から始めてみましょう。

