介護と両立できる仕事に就くために|柔軟な働き方を叶える「役立つ資格」

介護をしながらでも仕事を続けたいと考える方は多いでしょう。しかし、急な対応が求められる介護と、仕事を両立するのはなかなか難しく、介護離職を選択する方が多いのも事実です。
介護離職を防ぎ、介護しながら働き続けるためには、「柔軟な働き方」が重要なポイントになります。
柔軟な働き方を叶えるための選択肢のひとつが「資格取得」。本記事では、介護と仕事を両立したい方へ、柔軟な働き方ができる仕事に就くために役立つ資格をご紹介します。
「介護と仕事の両立」に必要な視点とは?
介護は、急な呼び出しや臨機応変な対応が必要になることが多いものです。食事や入浴の介助、家事などの決まった時間に行えるものもありますが、排せつや突発的な体調の変化、急な呼び出しなど、タイミングが予測しにくいのも介護の特徴のひとつ。仕事をしながら介護を行う場合には、こうした急な事態への対応をどうするかが、両立するためのカギになります。
介護と仕事を両立するには、時間や場所の柔軟性が求められます。決まった時間・決まった場所で働くスタイルだと、どうしても両立は難しくなることが多いもの。転職や副業も視野に入れた、働き方の「再設計」が必要になる場合もあるでしょう。
介護しながら仕事を続けるのであれば、在宅やリモートワークが可能な職種や、時間に融通がきく業務が理想です。そんな柔軟な働き方をする場合に役立つのが資格。資格は「働き方の幅を広げる武器」になってくれるでしょう。
介護と両立しやすい仕事に活かせる資格

柔軟な働き方ができる仕事に就くことで、介護と仕事の両立がしやすくなります。そのために役立つ資格にはどのようなものがあるのでしょうか。おすすめの資格を解説します。
医療事務資格
医療事務は、医療現場で必要とされる事務系資格の総称です。
具体的な資格としては、
- 医療事務技能審査試験
- 医療事務管理士
- 診療報酬請求事務技能認定試験
- 医療事務認定実務者
などが代表的です。
特徴
医療事務の仕事内容は、病院やクリニックでの受付業務、医療費の会計業務、レセプト業務、クラーク業務など多岐に渡ります。近所の病院やクリニックで働けば、通勤時間も短く済むため、プライベート時間を確保しやすいのも特徴です。資格取得のための学習は、独学や通信講座などが選択でき、在宅でも学びやすいでしょう。
メリット
医療事務の資格は短期間で取得しやすいのがメリットのひとつです。また、一度仕事を辞めても再就職の際に復帰しやすいのもポイント。生活スタイルや勤務形態が変わったとしても、再就職にも有利な職業と言えるでしょう。
活かせる働き方
レセプト業務やクラーク業務の一部は在宅でもできるため、自宅で仕事を行うことも可能です。パートや在宅勤務案件もあるため、ワークライフバランスの取れた働き方が期待できます。
MOS(Microsoft Office Specialist)
MOSは、WordやExcelなど、マイクロソフト社のオフィスソフトのスキルの証明になる資格です。
特徴
MOSはWordやExcelなど、事務業務では今や必須と言えるオフィスソフトのスキルを証明できる国際資格です。分野を問わず、事務系業務をする際には広く活かせる資格と言えるでしょう。通信講座や市販テキストによる独学で学習し、資格を取得することも十分可能です。
メリット
一般事務はもちろん、在宅アシスタント、データ入力などさまざまな場面で活かせる汎用性の高い資格です。事務職以外にも、販売や飲食などさまざまな業界で役立つため、身につけたスキルや知識を用いて幅広い職種で活躍することができます。
活かせる働き方
MOSはリモート事務、オンライン秘書、フリーランスの事務サポートなど、さまざまな働き方で活用できます。事務職は在宅勤務が可能な求人も多いので、在宅勤務希望の方にはおすすめの資格のひとつです。
簿記(2級・3級)
簿記とは企業の帳簿を記録するための技術のこと。
簿記検定には、代表的なものとして
● 日商簿記
● 全経簿記
● 全商簿記
があります。このうち社会人の就職や転職で最も広く活用されているのが日商簿記です。
特徴
簿記資格では、経理、会計、財務知識など、企業において不可欠な帳簿の知識や、経済に関する一般常識を身につけることができます。日商簿記3級は商業簿記についての知識、2級はこれに工業簿記が加わり、より実践的な知識が求められます。
メリット
経理や会計の仕事は年齢を問わず求人があり、取得しておくと就職や転職に有利な資格と言えるでしょう。働き方としては、出社勤務に加え、在宅ワークやフリーランス経理の道もあります。
活かせる働き方
簿記は経理や会計の仕事で活かすことができます。一般事務に加え、簿記についての専門的な知識を持っていれば、収入アップも目指すことができるでしょう。
ファイナンシャルプランナー(FP2級・3級)
ファイナンシャルプランナーの資格には、国家資格である1~3級FP技能士と、民間資格であるAFP、CFPがあります。
特徴
税金、保険、年金などのお金に関連する幅広い知識をもってライフプラン設計を行うのがファイナンシャルプランナー(FP)です。
FP3級は入門資格と位置付けられますが、出題範囲が広いため、学ぶ中でさまざまな知識が身につけられます。2級の受験資格は、3級合格者または2年以上の実務経験がある方が対象となります。
メリット
家計管理からローン、税制、介護・医療費に至るまで、FP資格を取得することで、さまざまな知識を身につけることができます。自身の生活設計にも役立つうえ、在宅相談や専門性を活かした執筆業務にも活用可能。直接的な業務以外でも資格を活かして収入を得ることができます。
活かせる働き方
FP事務所のアシスタント、オンライン家計相談、FP資格保有者としての執筆や記事監修など、FPにはさまざまな働き方があります。保険・金融業界で働く際にも有利になるでしょう。
介護職員初任者研修
旧ホームヘルパー2級の資格であり、介護の基礎的な知識やスキルを身につけられるのが介護職員初任者研修です。
特徴
介護の入門資格として位置づけられており、未経験でも挑戦できるのが特徴です。資格取得によって、訪問介護等でサービス利用者の身体介護が可能になります。
資格の取得には、所定のカリキュラムの受講を修了したのち、筆記の修了試験で合格するのが条件。通信講座による学習も可能ですが、一定の通学(スクーリング)が必須です。
メリット
介護の基本をはじめ、老化や認知症、障がいの理解など、介護に関する知識を広く身につけることができます。介護職に従事する場合に役立つ資格であり、就業先の選択肢を増やすことも可能です。また、スキルや知識を家族の介護においても活用できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
活かせる働き方
介護職員初任者研修は、訪問介護や介護施設で働く際に活用できます。介護職員は時短パート勤務での求人も多く、資格手当によって収入アップにつながることもあります。
資格取得は「キャリアの再設計」!

介護と仕事をうまく両立するには、介護の状況に応じて一度キャリアを見直すことが大切です。介護によって働き続けることをあきらめる必要はありません。介護は働き方を見直すチャンスととらえ、自身のキャリアアップ・スキルアップにつなげましょう。
新しい知識やスキルを身につける「学び直し(リスキリング)」として、資格取得はとても有効です。資格取得を機に、知見を広げたり、今まで知らなかった世界に飛び込めたりと、新しい喜びを知ることができるでしょう。
資格取得は「キャリアの再設計」であり、「自分らしい働き方」を作るステップです。はじめは介護がきっかけだとしても、勉強することは自分への投資でもあります。資格取得という明確な目標を目指し合格することで、スキルだけでなく自分に自信をつけられるでしょう。
自分の強みや希望の働き方を叶える手段として、資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
介護と仕事を両立するには、場所や時間に縛られない働き方をすることがカギです。柔軟な働き方ができる仕事に就くためには、資格取得が有効です。実用的なスキルと自信を得られる方法のひとつとして、資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。
「介護があるから無理」ではなく、「介護があるからこそ選べる働き方」を見つけることで、自分らしくいきいきと働くことができるでしょう。