介護の苦しさを打ち明けた日、私は大切な友人を傷つけた

こんにちは。白くま子です。

介護をしていると、誰かに気持ちを聞いてほしくなることがあります。同じように介護を経験している人なら、きっと分かってもらえるはず――私もそう思っていました。

今回は、認知症の父の介護中に私が犯してしまった失敗と、そのことで大切な友人を傷つけてしまった経験についてお話しします。

介護への不満を抱えていた頃

同居していた実父は、80歳を超え、常時オムツを着用するようになった頃から、認知症の影響も加わって、どんどん頑固でわがままになり、母や私の言うことを聞かなくなった。

起きている間はほぼ一日中食べてばかりいて、口を動かして食べること以外は、何から何まで母や私にやらせていた。歩けるのに歩こうともせず、体を動かそうともしない。母や私が注意すると、「うるさい!」と怒鳴る。

当時、テレビ番組で、親を長年介護してきたという女性が「時には親のことを憎く感じて、『早く死んでくれ』と思うことがあったが、その思いを絶対に口に出してはいけないと思っていた。だけど、気持ちを分かってくれる本当に親しい人には、こんなふうに言ってもいいんだと知り、とても楽になった」と泣きながら語っていた。

それを視聴した私は、「そうか、本当に親しい人にはこの気持ちを言ってもいいんだ」と思ってしまった。我ながら単純で、バカにもほどがあると今になって思う。

友人の悲しみと私の失言

私には中学時代からの友人A子がいて、家族ぐるみで付き合っていた。
そのA子のお父様が急逝された。病気が分かった時には手の施しようがない状態で、入院後、ほんの短期間で旅立っていかれた。

お父様を見送った後、しばらくして我が家へ来てくれたA子は、私と話しながら泣いた。
しっかり者のA子のそんな姿を見るのは初めてで、彼女にどんな言葉をかけたらいいのだろうと、私はオロオロするばかりだった。
少し落ち着いてきたA子が、自分も大変な状況なのに、私の父の様子を聞いてくれた。

当時は父の在宅介護が始まって間もない頃。私は自分の気持ちの持ちようが分からず、わがままな父に対する不満をため込んでいた。
そこで口を開いた途端、父への不満が堰を切ったようにあふれ出し、まくし立てた挙げ句、最後には「(父のことを)憎い! 憎い! と思うんや!」とまで叫んでしまった。

いつもなら何か返事をしてくれるA子は、しばらく黙っていた。
そしてA子は、
「私は、お父さんの介護をもっとしたかった! 看たかった! どんなに大変でも、どんなに長期間でも、看たかった!」
と涙ながらに叫んだ。

そこまで感情をあらわにするA子の姿を見るのも初めてだった。

今になって分かったこと

父とは相性が合わず、父のことを「あまり好きではない」私とは違い、A子は昔から「お父さん大好き!」という人だった。
その日以降、A子からの連絡はぱたりと途絶えた。あれほど頻繁に会って話し、メールもしていたのに。こちらから連絡しても返事はなく、長い手紙を書いても返事はなかった。

その後、A子に頼み込んで会ってもらい、頭を下げて謝罪した際には笑顔を返してくれたが、それ以降、以前のような付き合いは戻らなかった。
A子も私も未婚で、さまざまな事情を経て実家暮らしだった。同居する父親の介護が必要になったという状況は同じでも、人としての成熟度や成長の速度はあまりにも違っていた。
年齢相応の常識と思いやり、気遣いを備えたA子から見れば、私は50歳を過ぎても「手のかかるわがままなお子ちゃま」だったのだろう。
A子のお父様がお亡くなりになる前から、A子は私に対して「もう面倒を見切れない」と愛想を尽かしかけていた様子があった。
いい年をして、A子の気持ちやつらい状況を思いやることもせず、自分のことしか考えていなかった。私の無神経でわがままな言葉や態度が、最後の引き金になったのだろう。
相手の気持ちや、その時のタイミングを、私はまったく考えていなかった。弁解の余地はない。

身内を介護した者同士なら、きっと気持ちを分かってもらえると思っていた。
しかし、介護の状況や家族関係、その人の置かれた立場によって、抱えている思いは千差万別だ。
中学校の教室でキャッキャとじゃれ合っていた頃から40年近く、ずっと友達として過ごしてきた人だから、何を言ってもいい、何でも分かってもらえると思うのは驕りだった。

今さらながら、やっと学んだ。
私は浅はかだった。
バカだった。
思いやりのかけらもなかった。
A子には嫌な思いをさせてしまった。
本当に申し訳なかったと思っている。

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