義母と実母、二人の介護と仕事の両立に挑んで

介護と仕事の両立は、心身の負担が大きく、時には理解を得ることも難しい現実があります。義母と実母、それぞれ異なる介護をしながら、仕事や自分自身のケアをどう調整していったのか。介護の現実に向き合いながら、工夫して生活してきた経験を教えていただきました。

橋本ゆかり(50代) 介護中は調理員
家族: 夫、義母、私の3人住まい
要介護者:義母(同居)要介護2
実母(別居)要介護3


義母と実母、それぞれ異なる介護に奔走する

同居の義母と、別居の実母の介護をしていました。
義母は一人で歩けるので、お世話は主に精神的なサポートと食事の準備が中心でした。時々感情的になることもありましたが、なんとか対応していました。
一方、実家の母は認知症もあって、自分ができないことをなかなか認めようとしませんでした。家事はほとんどできず、排泄にも問題があったのに紙パンツを嫌がることもしばしば…。洗濯や掃除、買い物など、生活全般のお世話をしていました。介護保険を使うように説得するのもかなり大変でした。

介護の負担と仕事のストレス、職場では理解してもらえなかったことも…

介護当時、私はパートで調理員をしていて、家・仕事・実家を行ったり来たりの状態。体力がかなり必要でしたし、気持ちもなかなか落ち着きませんでした。
職場での休憩中、少しでも体を休めたくて目を閉じていたら、栄養士さんに「勤務中だから寝ないでください」と注意されて…。今でもそのことは忘れられません。事情を説明しても理解してもらえないだろうなと思って、ちょっと悲しかったです。

介護と仕事を両立させるために選んだ仕事

実家の近くで、自分に合った勤務条件のパートの仕事を慎重に選びました。
そのおかげで、仕事に行く前に料理を作って実家に持って行き、家事をしたり、そのまま仕事に行ったりできるように。仕事が終わったら、また実家に寄って家事や買い物をして、家に帰るという生活が可能になりました。通勤費で交通費がまかなえたし、毎日実家に行く負担も通勤途中だったのでだいぶ楽になりました。
今の在宅ワークを始めたのは、介護にもっと専念するためです。家にいる時間が増えたのに、逆に新しい世界が広がって、ちょっと不思議な感じです。知識も増えました。今の契約している会社は、働いている人の事情にすごく配慮してくれるので、本当にありがたく思っています。調理員の時は、得られたものは少なくて、体がつらかったり、この先どうしようかと悩んだりした記憶しかないですね。

介護の現実を乗り越えるためには心身のケアが大切。自分を守るために気をつけたいこと

介護は幅広いです。寝たきりの人をお世話するイメージがあるかもしれませんが、実際には要介護者の症状に応じて対処の仕方が全く違ってきます。だからこそ、自分の心身の健康を最優先にするという考えを持ってほしいです。家庭と職場だけでなく、落ち着いて休める自分の居場所を見つけることが大事だと思います。
私の場合は、一人カラオケに行って、ポロポロ泣きながら歌ったりしていました。悩みを相談できる人がいるのは大事ですが、理解してくれない人もいるので、相談相手は選んでくださいね。あと、地域の高齢者支援センターなどに早めに相談することも大切です。積極的に行政の助けを借りることをお勧めします。介護は一生懸命やっても結果がすぐに出るわけでも、誰かに認めてもらえるわけでもないので、時にはあきらめることも大事だと思います。

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