仕事と介護、子育てを両立した10年の経験から

きよ(50代後半) 週2のパート勤務

家族: 夫・娘2人
要介護者:実母(別居)

50代後半の女性が、フルタイム勤務や子育てと並行しながら、実母の介護に向き合った10年間。工夫や周囲の支えを得て乗り越えたその経験から、同じような境遇にある方へのアドバイスをお届けします。

およそ10年、フルタイムで働きながら実母を介護

6年前までの約10年間、フルタイムで働きながら実母の介護をしていました。
母は父が亡くなった後、一人暮らしをしていました。私が地元にいた頃は月に数回実家を訪れ、買い物や病院への付き添いをしていたものの、夜中に具合が悪いと呼び出されることや、ご近所・親戚に頼る生活が続いていたのです。そこで、説得して自宅近くの高齢者サービス付き住宅に入居してもらいました。

しかし、母は慣れない土地や立地のため買い物にも行けず、食堂も利用せず自炊を希望。結果として、買い物や病院の付き添い、掃除、日用品の買い出しなど、ほとんど私が対応していました。

その後、母が大腿骨を骨折し、要介護となったことで施設の支援を受けられるように。申し訳ない気持ちもありましたが、助かりました。

仕事・家事・母の世話を一人で担い、限界を感じることも

父の病気を機に、多少融通が利く仕事に変えてもらったため、私の職場環境は恵まれていたと思います。それでも、仕事中に施設から連絡があることが多く、仕事帰りに事情を聞きに行くなど対応に追われる日々でした。

一軒家からマンションタイプへの慣れない住居、知り合いもいない土地、要介護ではなかったためスタッフさんとも交流がなく、積極的に行事参加もしないため、母は他人との交流がほとんどありませんでした。

毎日のように私が施設に顔を出す必要があり、正直きつかったです。それでも恵まれた環境なのは変わりないし、別居なのだし何か大変なことをしているわけでもないので愚痴などは言ってはいけないと思っていました。

実家じまいをする際、仕事や家事をしながら一人で母の世話や不動産手続きを全て担った時期が一番つらかったです。子供の手がかからなくなっていたのは救いでしたが、母が他人に甘えることを苦手としていたため、全て私が対応していました。時間も体力も足りず、限界を感じることが多かったです。

実家じまいが済んだ後、母が大腿骨を骨折し、退院後から本格的な介護が始まりました。通院はすべて私が連れて行くのですが、仕事に影響が出ないように日程を組んだり、少し早く帰らせてもらったりしていました。

高齢者サービス付き住宅と介護仲間がいる職場環境が大きな助けに

高齢者サービス付き住宅に移ってもらったこと、そして介護仲間がいる職場環境が大きな助けになりました。通院や急な呼び出しがあっても柔軟に対応してもらえ、悩みや愚痴を共有できる環境がありがたかったです。

要介護となった後は、リハビリの先生や施設スタッフと顔なじみになり、私が毎日通わなくても母が寂しさを感じることは少なくなったようです。

やはり無理をし続けると気持ちにも余裕がなくなり、知らず知らずのうちに態度にも表れてしまうものだと感じました。だからこそ、休めるときにはしっかり休むことが大切だと実感しています。そうすることで、自分の体調管理のために通院する時間も確保できるようになりました。その分、土日はできるだけ母のもとを訪れ、ゆっくり話をする時間を持つように心がけました。

子育ても介護も100人いれば100通り。まわりの協力は必須

私の経験はあくまで一例です。育児も介護も100人いれば100通りで、それぞれ状況は違うと思います。特に同居の方はお仕事との両立が本当に大変だと思います。

介護が必要になる前に地域の支援情報を集めておくことがおすすめです。ネットの情報だけでなく、疑問点は直接問い合わせることで、より実用的な情報が得られることもあります。

私はネットで施設を調べ、比較検討し、数件何度か足を運び、母にも見てもらいました。実際入居したのはその3年後くらいでしたが、心構えを持ってもらうにはそのくらいの時間は必要だったのだと思います。

介護施設を選ぶ際、費用の負担は避けられませんが、少しでも負担を抑えるために情報収集をしっかり行うことをおすすめします。私は、費用を比較しながら、自分が通いやすい場所に新しい施設ができるのを待ちました。焦らずに検討を重ねることが大切だと思います。

また、職場にもよるとは思いますが、介護と仕事を両立させるためには、自分の状況を隠さず早めに共有することが大切だと思います。急な呼び出しや思うようにいかないことが増えるため、少しずつでも伝えておきましょう。周囲の理解を得やすくなります。

さらに、家族の協力は欠かせません。分担とまでいかなくても、自分が動けないときのピンチヒッターになってもらえるよう、状況を共有しておくことが大きな助けになります。特に大学生の子供などは平日に動けるので戦力です。

私には、もうすぐ90歳になる実母のほかに、地方に同い年の義母、90代半ばとなる義父もいます。正直いつまで仕事を続けられるのかわかりませんが、3人とも介護が必要となるまでは頑張るつもりです!