終わりの見えない介護。それでも社会とつながりを

90歳を超えた両親の介護と、個人事業主としての仕事。その両立は決して簡単ではありません。
終わりの見えない介護だからこそ、無理をしすぎず、その時々でできることを続けていく。そして、どんな状況でも社会とのつながりを持ち続けたい――。
のむらゆきこさんがたどり着いた「介護とはたらく」のかたちを伺いました。

のむらゆきこ(60代女性) 自営業
要介護者:父(要支援1)、母(要介護3)
元気だった両親も85歳を過ぎるとー
父と母はともに90歳を超えています。二人とも元気に過ごしていたのですが、85歳を過ぎた頃から体力の衰えが目立つように。
介護サービスを利用しながら、私自身も食事の差し入れや入浴の手伝いを続けてきましたが、少しずつ、日々の生活の中で介護の占める割合が大きくなっていきました。
現在は二人とも入院しているため、身体介護は病院にお願いしています。しかし、毎日の面会や食事の介助などは私が担っており、介護が生活の中心にあることは変わりません。
介護との両立で、高単価案件を諦めることも
私はフォトライターとして在宅で働きながら、父と母の介護に携わっています。
現在、両親は入院中ですが、毎日の介護に費やす時間は1日3〜4時間ほど。病院から突然連絡が入ることもあり、仕事の予定が大きく変わることも珍しくありません。
仕事で一番困るのは、予定を立てにくいことです。
病院から突然呼び出しがかかることもあるため、時間指定のある案件や打ち合わせの多い仕事は意識的に減らしています。
その結果、どうしても高単価の案件を受けにくくなりました。介護との両立を優先した結果ではありますが、収入面での不安は常にあります。
それでも仕事を続けたいという思いがあるからこそ、自分なりに働き方を工夫しています。
早朝の集中時間が、私の仕事を支えている
文章を書く仕事は集中力が欠かせません。
そこで私は、誰にも邪魔されない早朝の時間を仕事に充てています。朝は頭が冴えているため、以前より効率よく作業が進むようになりました。
また、日中は突然やってくる連絡を見逃さないよう、スマートフォンをこまめに確認しています。
さらに、ポモドーロ・テクニックも活用しています。25分集中して仕事をしたら5分休むという方法です。最初は半信半疑でしたが、結果として集中力が続き、仕事の効率も上がりました。
息抜きは必要。でも介護のことは頭から離れない
介護をしている方なら、「楽しんでいても心のどこかで気にしてしまう」という感覚を経験したことがあるのではないでしょうか。
以前、私も「介護と仕事だけの生活では、心が疲れてしまう」と考え、思い切って1泊2日の旅行に出かけました。しかし旅行中も両親のことが気になり、完全にリラックスすることはできませんでした。
そのため最近は、スキマ時間を使って意識的に気分転換をするようにしています。ウインドウショッピングをしたり、映画を観たり、おいしいものを食べたり。短い時間でも自分を労わることを大切にしています。
それでも仕事を続ける理由
正直、介護と仕事を両立していくのは困難です。
しかし、私にとって在宅ワークは、単なる収入源というだけではありません。
どんな状況でも社会とのつながりを持ち続けるための大切な場所です。
介護をしていると、どうしても生活の範囲が狭くなります。でも、仕事を続けていることで、人と関わり、自分の役割を感じることができると思うのです。
私も、納品した仕事に対してクライアントから感謝の言葉をいただいた時は、大きなやりがいを感じましたし、自分自身の成長も実感できました。
介護者を支える仕組みがもっと増えたなら…
介護サービスは少しずつ充実してきてはいますが、介護する側への支援はまだ十分ではないと感じています。
例えば家事支援など、介護者の負担を軽くするサービスがもっと気軽に利用できれば、多くの人が助かるのではないでしょうか。
介護を続けるためには、介護者自身が倒れないことも大切です。そのための支援が今後さらに広がることを願っています。
先を考えすぎず、その時々で判断していく
介護は育児と違い、いつまで続くのか予想を立てることが困難です。
「あと何年頑張ればいい」という目安もありません。
だから私は、その時その時に判断していくしかない、と考えるようになりました。
先のことを考えすぎると苦しくなります。介護に正解はありません。
同じように介護と向き合っている方には、「今日を乗り切ること」を大切にしてほしいと思います。
私自身もまた、その日その日にできることを積み重ねながら、これからも歩んでいくつもりです。
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